ヘルタースケルターとはなんぞや?

ちょっと気が早いかもしれませんが、すでに夏公開の映画がラインナップされてますよね。近年は特に邦画が勢いづいていて、これはこの夏も止まる気配がありません。不景気、不景気と言われ続けて久しい我が国の経済界ですが、映画に限ってはそんなことありません。実際、近年の邦画は以前の湿っぽさから脱却して、とにかくパワフル、元気な作品が続いています。そんな、夏の映画の中でも注目作と呼べるのがこのヘルタースケルターではないでしょうか。

ヘルタースケルター、と聞いて年季の入った洋楽ファンなら、ハードロック、ヘヴィメタルの元祖とも呼ぶべきあの名曲を連想されるのではないでしょうか。本来ヘルタースケルターという英語は「しっちゃかめっちゃか」「混乱」「混沌」などを意味する言葉です。映画のヘルタースケルターは、その伝説の名曲にインスパイアされたというレディースコミックを原作とした、結構ハードなドラマです。

主演は今話題のアノ女優さん!実に5年ぶりの銀幕復帰ですね。もちろん彼女の話題性も注目なんですが、その他にもこのヘルタースケルターには現代邦画界を支える実力派俳優、映画賞常連の皆さんがずらりと顔を揃えているのも魅力です。なにしろ結構インパクトのあるストーリーですから、お話にリアリティを持たせる上でも、演技派の役者陣を惜しげもなく投入したというところでしょうか。ゴリッと見ごたえのあるドラマが期待できそうです。

ヘルタースケルターの監督にも要注目です。国内のみならず世界の演劇界にもその名を馳せた偉大なる演出家を父に持ちながら、気鋭のフォトグラファーとしてすでに海外でも実力を認められ、多くの熱狂的ファンを持つ人気女流写真家が、あの衝撃の監督デビュー作「さくらん」に続いてメガホンをとっています。前作でもそうでしたが、今回も赤を基調とした極彩色の映像が、イメージの奔流となって私たちを楽しませてくれそうです。

気になる原作は90年代を代表する女流コミック作家の渾身の長編注目作です。どれくらい注目されていたかというと、あの偉大な“漫画の神様”の名を冠した文化賞の第8回アワードで漫画部門の大賞を受賞した作品であり、第7回文化庁メディア芸術祭においても優秀賞を受賞したという、おそらく日本漫画史に名を残すこと間違いなしの傑作なのです。監督はヘルタースケルターの映画化に向け7年間準備したというくらいリキが入っているのだそうで、そういうところにも期待が集まります。やっぱり映画というのはつくり手の熱意というのが重要な要素だと思うからです。