ヘルタースケルター、おぼえがき

このヘルタースケルターという映画の原作は、1996年まで連載されていたレディースコミックです。連載終了直後に原作者が交通事故に巻き込まれてしまうというアクシデントにみまわれ、現在もリハビリを続けておられるわけなので、今のところ作者の「最近作」にして代表作ということになります。幸いなことに関係者に拠れば経過は良好とのこと。また再びペンをとって最新作を著してくれる日も近いと信じます。

作者が療養中の2003年、ついに待望のヘルタースケルター単行本化が実現しました。作者は病床で原稿チェックを行ったということですが、いずれにしてもヘルタースケルターが単行本化されたことで出版界の大きな注目を集め、一種の社会現象を巻き起こしたことでより多くの読者の目にも触れ、先にも紹介した大きな賞の受賞に繋がったのでした。一般に原作つき映画の場合、企画の第一は「話題性」です。より多くの読者の支持を得たということは、作品の質・内容とともに外せない条件ではあります。

それから満を持しての実写映画化となったわけですが、監督をはじめ出演者・スタッフのほとんどが原作の熱烈な支持者であり、それだけに映画化には参加者一丸となってのエネルギーが注ぎ込まれています。特にこの作品の場合、あまりにも強烈な主人公の個性ゆえに、なかなか適役となる女優さんが現れなかったことも、ここまで映画化が遅れた一因だったかと思います。

そういう意味においても、今回の劇場版「ヘルタースケルター」は、まさにベストキャストが組まれています。原作コミックを読んだ人なら誰もが納得の配役なのではないでしょうか。後でも触れますが、さらに監督と脚本に女性を持ってきたところにも、この「闘う女性の物語」をよりビビッドなものにしてくれる要素があると思っています。女性が紡いだ物語を、男性の視点ではなく、あくまで女性目線で描くというところに、このハードでエキサイティングなストーリーを生かす道があったと思うのです。

今回のヘルタースケルターの映画化に際して、原作者からのメッセージが、弟さんを通じて発表されています。それによると、作者もこの実写映画化に心から期待し、楽しみにしているということです。特に監督・スタッフの選定とキャスティングについて、大いに興味を持ち、どのような作品として生まれ変わるのかを楽しみにしているとのことです。生みの親のご本人ですから当然として、我々ファンとしても、その出来栄えが実に気になるところです。